袋小路に花は咲く

読書や映画の感想

ファンタスティックビーストと魔法使いの旅(2016 アメリカ)

ハリーポッター新シリーズ第1作。時代はハリーポッター本編から90年前、ハリーが学校で教科書として使っていた魔法生物学書の作者「ニュート・スキャマンダー」が主役。渡米してきたニュートの手持ちのトランクから魔法生物が脱走。ニュートは一般人とともに人間界で問題を起こす魔法生物を捕まえるため奮走する。時を同じくして、人間界では魔法の存在に気付く人が増え始め、真崩壊と人間界は一触即発に。果たしてニュートはこの危機を救えるか!?という話。魔法生物が魅力的でCGが凄い迫力。ハリポタ好きには堪らないのは勿論、ハリポタ本編見たことなくても楽しめる作品になっているので全てのファンタジー好きにオススメできる作品。

 

1926年、イギリスの魔法使いでで魔法生物学者であるニュート・スキャマンダーが、アメリカ合衆国アリゾナ州へ向かうルートの経由地ニューヨークに船で到着する。ニュートは非魔法使い(アメリカ英語で「ノー・マジ」"No-Maj"、イギリス英語で「マグル」"Muggle")の女性であるメアリー・ルー・ベアボーンに出会うが、メアリー・ルーは魔女や魔法使いは実在し、危険であるという主張をしている新セーレム慈善協会を率いていた。ニュートがメアリー・ルーのスピーチを聞いている間に、魔法で拡張されて複数の魔法生物のすみかになっているニュートのスーツケースからニフラーが逃げ出してしまう。ニフラーをつかまえようとするうちに、ニュートはノー・マジの缶詰工場職員でパン屋志望のジェイコブ・コワルスキと出会い、ひょんなことから2人が持っていたスーツケースが入れ替わってしまう。降格させられた闇祓い(闇の魔法使いを追う専門家)であるティナ(ポーペンティナ)・ゴールドスタインはニュートを無登録の魔法使いとして逮捕し、かつての地位を取り戻したいと思ってアメリカ合衆国魔法議会(MACUSA)の本部に連れて行く。しかしながらニュートが持っていたのはジェイコブのスーツケースで、パンや焼き菓子が入っていただけであったので、ニュートは釈放される。ジェイコブが借りていたアパートでは、ニュートのスーツケースから生きものが複数逃げ出してしまい、アパートを壊してジェイコブは噛まれてしまう。

ティナとニュートがジェイコブとスーツケースを見つけ、その後ティナは2人を数日間見張るため自分のアパートに連れて行く。ティナは妹でレジリメンス(人の心が読める力を持つ人物)であるクイニーを2人に紹介する。アメリカの魔法使いはノー・マジと結婚したり、社交をしたりすることすら禁じられているが、クイニーとジェイコブは互いに惹かれあうようになる。ニュートはジェイコブを自分の魔法で拡張したスーツケースの中へ連れて行き、そこでジェイコブは魔力をコントロールすることができない魔法使いの子どもの内に潜む暗く破壊的な寄生物であるオブスキュラスが格納されているのを見つける。オブスキュラスに苦しむ者が10歳を越えて生きられることはめったになく、ニュートはこれを亡くなってしまった少女から引き抜いてきたのであった。ニュートはジェイコブを説得し、いなくなった生物を探す手助けをしてもらう。逃げた動物3匹のうち2匹をつかまえた後、全員でスーツケースに再び入ったが、これをティナはMACUSAに持って行ってしまう。当局はニュートの動物がアメリカ合衆国上院議員であるヘンリー・ショー・ジュニア殺しを行ったと信じて皆を逮捕する。当局はニュートのスーツケースを壊してジェイコブの最近の記憶をオブリビエイト(魔法で忘却させること)すると決める。魔法保安局長官パーシバル・グレイブスはニュートを悪名高い闇の魔法使いゲラート・グリンデルバルドと共謀していると断罪する。ニュートとティナは即刻死刑を宣告されるが、クイニーとジェイコブが2人を救出する。4人組は逃げた生き物の最後の1匹を見つけ、つかまえる。

一方、パーシバル・グレイブズはメアリー・ルーの養子である少年クリーデンス・ベアボーンに接近し、虐待的な母親から逃がしてやると持ちかける。かわりにパーシバルはクリーデンスにオブスキュラスを見つけさせようとする。グレイブスは町中で起こっている謎の破壊活動はオブスキュラスが起こしたと信じていた。クリーデンスは同じく養子である妹モデスティのベッドで魔法の杖を見つける。メアリー・ルーはクリーデンスの杖だと思い込むが、モデスティは自分のものだと主張する。モデスティが罰を受けそうになるとオブスキュラスが放たれ、モデスティとクリーデンス以外全員を殺した。グレイブズが到着して、スクイブ(魔法使いの家系に属するノー・マジ)だとしてクリーデンスを突き放し、魔法を教えることを拒む。ここでクリーデンス自身がオブスキュラスのホストだということがわかる。クリーデンスの魔力が強すぎるため、他のホストよりも長く生き延びていたのであった。怒りにかられてクリーデンスはオブスキュラスを街に放つ。

ニュートはクリーデンスが地下鉄のトンネルに隠れているのを見つけるが、グレイブズに襲撃される。ティナはクリーデンスと知り合いであり、到着してクリーデンスを落ち着かせようとするが、一方でグレイブズは自分の言うことを聞くようクリーデンスを説得する。クリーデンスは落ち着いて人間の姿になりそうになるが、MACUSAのピッカリー議長と闇祓いたちが到着する。ピッカリーはクリーデンスは魔法界を守るため処刑されねばならないと決める。闇祓いは一見したところクリーデンスを分解したように見えるが、オブスキュラスの小さなかけらが逃げおおせる。グレイブズは魔法使いの共同体をノー・マジに暴露するためオブスキュラスを放とうとしたと認め、怒りながらMACUSAは自分たちよりももっとノー・マジのほうを保護していると主張する。グレイブズは変装したゲラード・グリンデルバルドであることがわかり、MACUSAの闇祓いたちの監視下におかれる。

MACUSAは自分たちの秘密の世界が暴露されることを怖れるが、ニュートは自分のサンダーバードを放ってニューヨークの人々全員の最近の記憶を消せる薬を町中に雨として降らせ、MACUSAの魔法使いたちは破壊されたものを修復する。クイニーは雨がジェイコブの記憶を消してしまうので、ジェイコブにキスして別れを告げる。ニュートはヨーロッパに出発するが、本が書き終わったらまた戻ってきてティナを再訪すると約束する。ニュートはジェイコブがパン屋を開く資金を得られるよう、オカミーの銀でできた卵の殻を匿名で残しておく。無意識のうちにニュートの動物に触発された幻想的な形のパンやペイストリーのおかけでジェイコブのパン屋は大成功する。クイニーがパン屋を訪問し、ジェイコブはクイニーを見て顔中に大きな微笑みを浮かべる。

 

J・K・ローリングはやっぱりすごい。オリジナル脚本ってだけあって物語の流れが映像の流れが緩やかで、原作の要所要所を詰め込んだハリーポッター本編よりも観ていて疲れない作品になっている。全5部作というアナウンスがあって、観終わって興奮した。このレベルの作品がこれからあと4つも出会うことが出来るのか…!と。

一瞬たりとも飽きなかった。魔法使いかどうかをあまり気にしない差別や偏見などにも一石投じている仲間4人を見ているとまるでハリーポッターと仲間たちが大人に成った姿を見ているようだった。登場人物は違えど根底に流れているローリング流のキャラクターは生きていて、よくわからない感動が込み上げてきた。

魔法生物の描写、CGが心躍らせてくれる。物語はハリポタの世界観そのままの王道ファンタジーだし、予定調和感がある。それが面白みに欠けるという人もいるかもしれないけれど、ぼくは予定調和だからこそ細部に気を配って観ることが出来るようになった。そして、細部に目をやっても、一つ一つが洗練されていてよくできている。ぼくはあまりにもこの作品に出てくる魔法生物たちが好きで仕方なかったから、滅多に見ない特典映像の「魔法生物の成り立ち」まで見てしまった。あくまで「現実のどこかで独自に進化を遂げていたら?」というテーマを持っているから、どこかに居そうと思わせるような生物に仕上がっている。ローリングの想像力は本当に美しく素晴らしい。子供の心を忘れずに、そして我々が何を期待しているかを見透かしたかのように、的を得ている格好良さに惚れ惚れする。

ニュート・スキャマンダーを演じるエディ・レッドメインは超イケメンだし、「モンスターズインク」に出てくるような名前のジェイコブ・コワルスキー役のダン・フォグラーもアメリカでコメディアンやってるだけあって演技が幅有って好き。

続編はジョニーデップがラスボスだろうし、英雄の兄テセウスも登場するだろうし既に観たくてウズウズたまらん..!

ハリーポッターより好きかも。映像がモダンというか一つ一つ細部までしっかり作り込まれているのが観終わった後の充実感に繋がる。キャラクターが大人ばかりで、子供向けのファンタジーから、万人受けするファンタジーになった。当時リアルタイムでハリーポッターを観ていた人たちも今は大人。そんなハリポタマニアとその子供と一緒に楽しめる作品に昇華したのは賞賛に値する。(おしまい)

 

4.5点/5.0満点中